酒と煙とロック19 (イエス/こわれもの)
曲の長さが3~4分というのは誰が決めたんでしょうか。
理由はいろいろあると思いますが、レコードの録音時間が限られていたからかなとは思います。それと飽きっぽい現代人にとって丁度よい長さなんだろな、と。テレビの歌番組なんかでもいい具合みたいだし。
結局1曲1曲がよくてもそんなシングルの寄せ集めって感じな作りだと、どうしてもLP(アルバム)としての魅力をあまり感じません。それもあって、長さなど気にせず(ホントはちゃんと計算してたりしますが)この枠を完全にブチ壊したプログレに惹かれるわけです。
そこでイエスの「こわれもの」です。
最初は全9曲のトラッキング・リストを見ただけでなんかワクワクしました。A面は8分半の名曲「ラウンドアバウト」に始まって1分台が2曲続いた後、さらに8分越えの「南の空」です。B面は1分に満たないプロローグから2~3曲目のメドレー、そして最後が11分越えの大作「燃える朝焼け」で締めます。
ともかく普通の長さの曲がほとんどありません。基本的に短い曲はメンバーのソロで、バンドとしては長尺志向ですね。次作「危機」は3曲、その次は2枚組で4曲です。しかしこの時期のイエスの屋台骨、キーボードのリック・ウェイクマンが最後には長すぎてイヤだ、とイエスを脱退したみたいです。ではいったい誰が長尺好きだったんでしょうか。
まあ彼らの曲は構成がキッチリしていてその点でクラシック的で、ロックシンフォニーと言えばイエスです。
独特のピロピロキーボードやジョン・アンダーソンのふわ声は好き嫌いがあるみたいですが、そういう特徴的なのがまた良いところです。スクワイヤのガッツリベースや、ハウのアンサンブル的ギターもいいし、ブラッフォードのバチさばきもプログレファンにはたまりません。
けどシングルカットで短尺になった「ラウンドアバウト」はあんまし聴きたくないかも。
イエス/こわれもの (1971)
A面
1 ラウンドアバウト (8:30)
2 キャンズ・アンド・ブラームス (1:38)
3 天国への架け橋 (1:40)
4 南の空 (8:02)
B面
1 無益の5% (0:35)
2 遥かなる思い出 (3:30)
3 フィッシュ (2:39)
4 ムード・フォア・ア・デイ (3:00)
5 燃える朝焼け (11:27)
つづく