酒と煙とロック26 (Lツェッペリン/フィジカル・グラフィティ)
いきなりですが、英語の発音は抑揚が一番大事です。
レッド・ツェッペリンの「Physical Graffiti」のグラフィティは落書きという意味ですが、日本人はどうしても「グラ↑フィティ」と「ラ」を上げてしまいます。しかしネイティブの人にこれを言ったら「何それ???」となりました。止む無くスペルを言ったら「オー、grフィ↑ri」みたいな。要するに「フィ」にアクセント(本当はストレス)があって「グラ」と「ティ」は低くいいかげんに発声します。
「ボランティア」も「ヴァルンティ↑ュ」、「パターン」も「ペァ↑ルン」のように、ともかくアクセントの位置を正しく発音しないと全く通じません。ちなみに「ストレス」も「stレ↑ース」て感じです。
ということで本年の大トリは、いよいよ伝説の大作です。
とにかく渋い。ハデさや、テクニカルなリードソロ、プラントのシャウトなどが主張するストレートな曲はほとんどありません。しかし何と言うか、大王イカのスルメのようなというか、歳を重ねるにつれて美しくなってゆく石田ゆり子のような?アルバムです。
もし私が中学生の時に出会ってれば、恐らくもっと若い子にチェンジ(石田ゆり子ではなくアルバムの話です)、てなったかも知れません。ともかくツェッペリンといえば「移民の歌」や「ロックンロール」のようなハードロックの印象が強く、速さや激しさばかりを追い求めていた胴亭少年の期待は見事に裏切られたろうと思います。
しかししかし、いろいろツェッペリンを聴き込んでくるとやぱりこれこそツェッペリンて感じなんですよね~。
A面は単調なリフなのにかなり凝ったハードでノリのいい「カスタード~」から始まって、ヘビーでギターが感動的な名曲「流浪の民」、そして大作「死にかけて」はスライドギターの不思議な感覚からの超盛上がる後半部分へ。
B面も軽快でファンキーな「聖なる館」「トランプルド~」に続いて変拍子が荘厳重厚なご存じ超名作「カシミール」。
C面ではアルバム2番目の大作「イン・ザ~」に続けてリラックスの2曲、特に「ブロン~」は変則チューニングのギター1本の佳曲で、最後は静と動が対照的なハードナンバー「テン~」。
そしてD面は明るいロックンロール調の「夜間~」、これぞ本領発揮の「ワントン~」、いかにもZEP風アレンジの「ブギー~」から一風変わった「黒い~」がご愛嬌、そして最後は超ヘビーな貫禄の「シック~」で締めくくり。
あ~これですわ~ by 本田翼
/フィジカル・グラフィティ (1975)
A面
1 カスタード・パイ (4:15)
2 流浪の民 (5:39)
3 死にかけて (11:08)
B面
1 聖なる館 (4:04)
2 トランプルド・アンダーフット (5:36)
3 カシミール (8:37)
C面
1 イン・ザ・ライト (8:47)
2 ブロン・イ・アー (2:06)
3 ダウン・バイ・ザ・シーサイド (5:15)
4 テン・イヤーズ・ゴーン (6:34)
D面
1 夜間飛行 (3:38)
2 ワントン・ソング (4:08)
3 ブギー・ウィズ・ステュー (3:52)
4 黒い田舎の女 (4:24)
5 シック・アゲイン (4:42)
つづく