酒と煙とロック 9(Vヘイレン/炎の導火線)
あまりカバー曲が好きではありません。
思い出の曲というのは懐かしい当時の記憶を呼び起こしてノスタルジーに浸らせてくれるのですが、全ての音がオリジナルそのままでないとなんかすごく違和感を感じます。つまりその曲は、イントロから歌声、バックの演奏だけでなく、微妙な調子や雰囲気まで全てが記憶とつながっているみたいです。
もちろん、ライブやアレンジした別バージョンもそれはそれで結構好きですが、楽しみ方としては別物です。
しかし、他人がカバーしたものはいけません。折角の大好きな曲が他の男に寝盗られたような、そんな不快感を覚えます。もちろん女性のカバーでも同じですけど。
ただ、中にはカバーの方が好きな場合もあります。ひとつはオリジナルを全く知らなかった場合、もうひとつはオリジナルをはるかに凌ぐ出来映えの場合です。
キンクスの「ユー・リアリー・ガット・ミー」は秀逸なリフの名曲ですが、ヴァン・ヘイレンがこの曲を見事にハードでワイルドに仕上げました。
彼らのデビュー・アルバム「炎の導火線」は、この曲だけでなくとにかくエディ・ヴァンヘイレンのギターが衝撃的です。
彼のライト・ハンド奏法はつとに有名ですが、オブリガート(フィルイン)のセンスも抜群だし、ヘビーなオーバードライブのリフと対照的な、ガラスのような透明感のあるハーモニクスを多用したサウンドも魅力的です。
特に「暗闇の爆撃」はライトハンドが炸裂するギター小僧憧れのインストルメンタル曲です。
ただこのバンド、エディのギターがなかったらそれ程でもないと思うのが正直なところです。
それにしても「Eruption」(噴火)はELPタルカスのサブタイトルにあったからなのか、邦題が「暗闇の爆撃」って・・・。アルバムタイトルもそうだけど、どうしてこんな邦題なんでしょう?
ヴァン・ヘイレン/炎の導火線(1978)
A面
1 悪魔のハイウェイ(3:35)
2 暗闇の爆撃(1:42)
3 ユー・リアリー・ガット・ミー(2:38)
4 叶わぬ賭(3:49)
5 アイム・ザ・ワン(3:46)
B面
1 ジェイミーの涙(3:29)
2 アトミック・パンク(3:03)
3 おまえは最高(3:42)
4 リトル・ドリーマー(3:23)
5 アイス・クリーム・マン(3:19)
6 炎の叫び(2:57)
つづく