酒と煙とロック 2(ジェスロ・タル / A)
今夜の酒のおともはジェスロ・タルの「A」。
このアルバムもなぜか世間の評判は今ひとつのようですが、私はタルの中でも一番好きなアルバムのひとつです。と言っても、彼らのほとんど全てがどれも一番好きなアルバムなんですけどね。
で、この「A」は1980年リリースなんですが、キーボードの電子音が全面に出過ぎだとか、ニューウェーブ路線に変わってしまった、などと散々こきおろされたみたいです。でも私には初期からのトラッドな風味が相変わらず底に流れているようにすごく感じるし、なんたってイアン爺やの声とフルートは益々心にしみ入ってくるんだよね。どちらかと言うと、この2年前にリリースされた「逞しい馬」とよく似た雰囲気で、さらにその前年の「神秘の森」からの変化の方が大きいイメージです。
で、中でも特にお気に入りの曲は「Black Sunday」。
日曜日に飛行機でどっかへ行って帰ってくる慌ただしい日常を歌った曲だと思うけど、空港へ行く電車は来ないわ、乗継でバタバタするわ、曲調もともかくそんな感じ。
ただ曲の中ではどうも空港ロビーかどっかでタバコを吸ってるみたいで、いい時代だったのだとつくづく思う今日この頃です。21世紀になって米国のほとんどの州が空港施設内禁煙で、乗継空港では必ず外の喫煙所へ何回も行くけど、戻る度に列に並んで身体検査。たまに搭乗券に全検印がついていると、毎回持ち物全部ひっくり返されるんだけど、係員に「またあんたか」と言われます。そんな時は係員に「See you again またね」とごく一般的なさよならを言ってやると、「No! もう外へ出るな」と返ってきます。
係員も手間かかるかも知らんけど、こっちも時間かかるし、構内に喫煙所があれば皆んなハッピーなのにね。日本の空港のように搭乗口近くに喫煙所があると誰に迷惑かかるの?めんどくさい世の中ですね。
ともかくそんなバタバタの状況でいつも頭の中を駆け巡るのがこの「Black Sunday」なわけです。
ところで私がタルにはまったのは、大学時代にラジオから流れてきたのを初めて聴いた時から。で、当時はネットなんて影も形もなかった時代で、雑誌に大きく取り上げられることも滅多になく情報入手が困難、せいぜいアルバムのライナーが最も詳しい情報だったけど、貧乏学生の身にとっては次から次へとアルバムを何枚も購入する余裕もないわけで、少ないバイト代から食費を削ってようやく一枚というのがやっと。そんな時ヤケに洋楽に詳しい同級生がいて、私に悟りを開いてくれたのでした。
最初の一枚は多分「アクアラング」だったと思うけど、ともかくその同級生は仏のような、いや見た目は七福神の布袋さんのような(もちろん人柄もね。今ではすっかりスレンダーです、念のため)ヤツでした。元気にしてるかな~(って、ついこないだ会ったやん)
ジェスロ・タル/A (1980)
A面
1 十字砲火 (3:55)
2 ファイリングデイル・フライヤー (4:35)
3 ワーキング・ジョン、ワーキング・ジョー (5:04)
4 ブラック・サンデー (6:35)
B面
1 プロテクト・アンド・サヴァイヴ (3:36)
2 バッテリーがない! (3:52)
3 ユニフォーム (3:34)
4 四輪駆動(ロー・レシオ) (3:42)
5 パイン・マーチンのジグ (3:28)
6 アンド・ファーザー・オン (4:21)
つづく